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Lee-Byung-hun addicted

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第8話

Cupido×Cupido(8)


「もしもし、ビョンホンssi?かかってきたよ、彰介から。もう予定通りバッチリよ。私たちって天才かもしれないわね。」電話口で興奮気味に話す揺を思い浮かべビョンホンはニヤニヤ笑っていた。
「もしもし?聞いてる?」
「ああ、ちゃんと聞いてるよ。それでちゃんと返事した?」
「うん、ちょっと途中演技が派手すぎて疑われそうになったけどなんとかごまかしたと思う。」
「また~、調子に乗って白熱しちゃったんだろ。」
「へへへ・・・。」
「過剰な演技はリアリティーが無くなるから気をつけるように。」
「何か妙に説得力あるんですけど。」
「俺の俳優人生で得た極意だ。特別に伝授してやるよ。」
「カムサハムニダ。ソンセンニム」揺はできる限り丁寧に言った。
「ああ、もうすぐ本番ね・・・何だかドキドキしちゃう」
「お前今度は俳優になりたいなんて言い出すなよ。」
「まさか~。あなたこそNG出さないでね。この間オールインのNG集見ちゃった。ありゃ、ダメよ。クックック・・・」思い出し笑いしながら揺が言った。
「お前にあの辛さはわからない・・・・」おでこに手を当ててビョンホンはそうつぶやいた。
「ビョンホンさ~ん、時間で~す。」
「あっ、じゃ仕事だから。」
「うん、ごめんね。仕事中に。頑張って!」
「うん。」
「あっ、ビョンホンssi」
「?」
「愛してるよ」
「僕ももちろん愛してる。じゃ、切るね。」
「うん。」・・・・・・・・・・
揺は受話器に向かって投げキッスをした。

23日の夜の飛行機で彰介と揺はチェジュドに向かった。
「久々だよね・・・こうやって二人でゆっくり話すの。」
その夜二人はホテルのバーでのんびりと会話を楽しんでいた。
「そうね。彰介は仕事が忙しいし、私は彼のお守りでいっぱいいっぱいだからね。」
「お守りって。揺が会いたいんじゃないの?」
「そりゃ、そうだけどあの人わがままなのよ。私に予定合わせろってうるさいし、私が断るとどうも他の女の子と遊んでるみたいなのよね。」
「うそだぁ~ヒョンに限ってそんなことないだろ。」
「ううん。それがあるのよ。ああ見えて寂しがりやだから。誰かそばにいないとダメみたいよ。意外と影でしっかり浮気してたりして。やっぱりソウルと東京で離れてるのがいけないのかな。最近、特にあんなことがあったせいか彼が信じられなくて・・・」揺はそういうと悲しげな目をした。
「俺が見た感じだと間違いなくヒョンはお前に一途な気がするんだけどなぁ・・。でもそういえば・・・」
「そういえば?」
「この間変なこと言ってたか・・・」
「変なことって?」
「いやいや、俺の気のせいだよ。」彰介はそういいながら先日ビョンホンが気詰まりとか息抜きとか言っていたのを思い出していた。
(ヒョン・・・大丈夫だよな。)
「で、明日は私はどうしてたらいいの?」
「とりあえず連絡するまでホテルで待機だな。必ず途中で連絡するから」
「わかった。じゃあ、楽しみに待ってる。」そういいながらもちょっと心配そうな揺の横顔が彰介の頭に不吉な影を落とした。



「もしもし?揺?今どこ?」
「ビョンホンssi?今ね。彰介と別れて部屋に帰って来たところ。あなたは?」
「今日の仕事が長引いちゃって飛行機に乗れなかったから明日の一便でそっちに行くよ」
「そっかぁ~。今晩こっそり会えるかと思ってたのに。残念だな。」
「ごめん。でも明日は会えるから。」
残念がる揺の声を聞きビョンホンは無性に彼女を愛おしく思った。
「あ~僕も早く会いたいよ。おまけに明日は喧嘩しなきゃならないし。」
「でも何だかこの感情を転化したらすっごい迫真の演技ができそうな気がするわ。」
ワクワクしてそういう揺もまた可愛かった。
一人ニヤつくビョンホン。
「もしもし?」
「あ~はいはい。ちゃんと聞いてるよ」
「明日のシナリオって結構アドリブだらけでしょ。全然違う方向に着地しちゃったらどうするの?」
「どうしよう」
「え~考えてないの?驚き。言いだしっぺのくせに。」
「まあ、なんとかなるよ」
「そういうとこ、すっごいアバウトだよね。」
「うん。」揺にとってはあっさりそう返事する彼がまた魅力的だった。
「じゃ、いよいよ明日ね。」
「うん。息の合った芝居をしよう。」
「うん。じゃ、お休みなさい。またあとでね」
「うん。じゃ、またあとで。」
二人は電話を切った。
そして来るべき明日に備え夢の中でも息を合わせる練習に余念がない二人だった。


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